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​ステートメント

 私たちの祖先が日本列島に棲みついてからおよそ4万年近くが経ちました。この間、人間の暮らしは今日までずっと、山、川、海に囲まれた自然のなかで続けられてきました。この生活を、これから先も継続していくには、すべてのことを自然界の秩序に則ってずっと繰り返していく必要があります。生きものである私たち人間は、山と川と海の生命の循環のうちにのみ、存続し得るものだからです。

 

  しかし私たちは、日本中の川という川をせき止めてダムを造ることを許してきました。もちろん、近代以降の資本主義社会において、経済成長という名の「発展」に伴う産業振興と人口増加の時代には、その恩恵を受けた部分もあります。けれども、その「発展」は命を徹底的にないがしろにするものでした。

 

  今、「発展」と引き換えに、あまりにも多くを失ってしまった現実と、向き合わざるを得ない時が来ています。こんな時代に、ダムのように巨大なコンクリートの建造物を造ろうとしても、先の見通しはつきません。またひとつ、またひとつと川をせき止め、そこで続けられてきた人間を含む生きものの歴史を断ち切り、忘れ去ることで、私たちは、これから先も人間として生きていくための知恵を、技術を、言葉を、情念を、忘れていきます。私たちはこれ以上、自然を壊したくないのです。とりかえしのつかない失敗ばかり繰り返すのは、もうまっぴらです。

 

  「石木ダム・強制収用を許さない県民ネットワーク」の活動は、ダム事業における土地の強制収用のための行政代執行を止め、事業遂行に待ったをかけるためだけのものではありません。今までの世の中の流れを食い止め、私たちの命の流れを真ん中にすえて、子どもたちの代も、孫たちの代も、その次も、その次も、ちゃんと続いていくような世の中を、つくり直していくことが本当の目標です。

  そのために、長崎県民だけでなく、日本列島に暮らす、すべての人々と手を携えていく努力が必要だと考えています。

  皆さまのお力添えを、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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