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​設立の経緯

 長崎県東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)川棚町川原(こうばる)地区は、川棚川の支流・石木川のほとりにあり、ホタルの里として知られる、豊かな自然に恵まれたところです。ここに、長崎県と佐世保市は、私たちの税金538億円を投じて「石木ダム」を建設しようとしています。もし、ここにダムができれば、この地で人々が先祖代々守り続けてきた棚田が水没し、13世帯50名以上の暮らしの基盤がすべて奪われることになってしまいます。稀少生物が数多く棲息する石木川流域の生態系も、二度と戻ることはありません。

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 今から60年近く前の1962年に発覚したこのダム建設計画は、佐世保市の水源確保と川棚町の洪水被害防止が目的とされています。しかし、佐世保市の示す水需要予測には明確な科学的根拠がありません。また、川棚川下流部で合流する小さな石木川にダムを造ることで、どれほどの治水効果が得られるのか、現地を訪れた人は誰もが首を傾げます。つまり、石木ダムは必要ないのです。にもかかわらず、長崎県と佐世保市は土地収用法を盾に、国からの事業認定を受けて、住民の土地を「強制収用」し、ダム建設を進めようとしています。

 2019年5月の長崎県収用委員会の裁決により、同年9月には全用地の所有権が国に移されました。さらに、11月18日の宅地明け渡し期限を過ぎた今、長崎県知事の判断によっては、実力をもって家や住民を排除する「行政代執行」の手続きが始まる可能性もあります。権力を濫用して住民の財産権を踏みにじり、基本的人権を奪うこの「強制収用」は、憲法違反です。

 そもそも、自然破壊を止めなければならない今の時代に、川をせき止め、山・川・海のつながりを断ち切るダム建設という事業自体、私たち人間の生存権の土台を脅かす行為です。これは地元住民だけの問題ではなく、みんなにとっての危機なのです。命と暮らしを守るために本当に必要な「公共事業」が何なのか、今こそ社会全体で問い直すべき時ではないでしょうか。

 だから、「石木ダム・強制収用を許さない県民ネットワーク」は、国、長崎県知事に対し、強制収用のための行政代執行を行わず、石木ダム建設事業を見直すようはたらきかけていきます。それが、私たちみんなのこれからにとって必要なことだからです。

​ 当ネットワークには長崎県民だけでなく、日本中、さらには世界中誰でも参加できます。ぜひともご一緒に声を上げていただきたく、ご参加、ご支援をお願いする次第です。

​2020年4月

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